湿気の多い時期に体を悩ます水毒とは?
初夏の日差しが心地よく、安定した気候が続きます。
一年で最も過ごしやすい陽気ですから、心や体を休ませる意識をもって、今から入梅や真夏に備えたいですね。暑さとともに水分量も増えてくるこれからの季節は、水のトラブルが増えてきます。水難事故や水道回りの事ではありません、これからの私たちの体の事です。今月は、東洋医学独特の考え方:
水毒(すいどく)の考えをご紹介します。
水毒(すいどく)と言う言葉を聞くのは、初めての方もいるかもしれません。
水が毒になる?水質の悪い水?など色々とイメージがふくらみますが、私達にとって欠くことの出来ない水が毒になるとは、にわかに信じがたいですね。西洋医学においては、
水中毒(みずちゅうどく)と言う言葉があります。これは、過剰な水分摂取によって生じる中毒症状で、血液が薄まることによる中毒症です。重症の場合は死に至ります。
水毒は、水中毒の事ではありません。
水毒とは、体の水の流れが悪くなることによって生じる、身体の不都合の事です。
血流に善し悪しがあるのは知る所ですが、体の中の水流にも善し悪しがあるとは意外ですね。
これは水毒の症状です
血液同様に、水は全身を巡るものですから、水毒の症状は、ほぼ
全身のあちらこちらにに見られます。
- むくみ:
足や手、下半身や顔面に生じます。軽度ならそれほど心配ありませんが、いつもムクみっぽく、手足が重だるいようなら水毒の可能性大。舌がはれっぽく、辺縁部にギザギザした歯形の跡がつくようなら、水毒と言えます。
- アレルギー:
皮膚や粘膜の下で余分な水がたまったことで、代謝されない老廃物や炎症物質が、アレルギー反応を呼び込みます。鼻では鼻水・鼻づまり、皮ふではじんましんや湿疹を作ることがあります。もともとのアレルギー体質が、これからの時期に増悪してくるようなら、水毒が疑わしいです。
- 胃腸障害:
水毒が消化管の上部で発生すれば、胃もたれ、食欲不振、吐き気などが、下部で発生すれば、下痢や軟便となります。夏バテからくる食欲不振は水毒の典型例です。
- 頭部:
水毒は慢性化すると体の上部を襲います。めまい、立ちくらみ、頭痛、頭重などが、天気が崩れる前、梅雨、湿気が多いシーズンに悪化を見るようなら水毒が疑わしいです。
- その他:
動機や息切れ、息苦しさなどの身体症状、気分が晴れず、陰うつで気力の出ないような精神症状は、水毒症状が慢性化した際に現れやすくなると考えられています。湿気で膝や関節が痛む、水がたまるなども水毒です
水の流れが悪くなり、水毒を作りやすくする原因は?
水の流れが悪くなるケースでは、多くのケースで水の貯め込み過ぎに体が傾いています。
水の入口は飲食から、出口は、
尿、汗、便となりますが、
水の収支が収入側に片寄って崩れるのが水毒です。では、水は摂らなければ水毒にならないかと言えば、そうではありません。
水の過剰摂取をせずとも容易に水分の収支が崩れてしまう状態が、これから夏にかけて容易に作られます。
外気温が高くなり、水分摂取が増えるこれからの季節は、十分な汗をかくことができず、余分な水分をため込みやすくなります。外気が暑くなることで、
冷たい水分やアイスなどで体を冷ましますが、これらも水分をため込みます。
梅雨入り前からは湿度が上がってきます。外気が湿っければ、蒸発する汗が減り、体も湿度を増しやすくなります。暑い季節は、入浴からシャワー浴に変わりやすく、エアコンの効いた部屋にこもり、運動不足になりがちです。水毒になりやすいのも納得です。
余談ですが、冬にも水毒があり、多くは末端や下半身の冷えを作りますが、血流と言う観点から説明されることが多いです。水分量の減る冬場に水毒になる人は、アルコール好きの方に多く、体内の熱と結びつき
酒毒(しゅどく)と言われる別の病態を作るケースをよくみます。
二日酔いは、急性の水毒と言えます。百薬の長が、百毒の長に変わらぬよう気をつけたいところです。
このように水毒の症状は、心身両面にわたります。
多くは、日常の何気ない症状で、見過ごされてしまう様なものばかりかもしれません。胃薬や痛み止めと言った場当たり的な治療で終わっても良いかと思います。休むことで回復するケースも多いでしょう。ですが、水毒の特徴を上げるならば、
しつこさです。ジメジメした湿気の様に、重だるく陰湿です。
長梅雨や猛暑になると、決まったように相談が増えるのが水毒の症状です。もし水毒に思い当たりがあるならば、水分排泄(汗、尿、便)にみあった水分摂取を心がけてみてください。日に日に暑くなってくると、水分摂取が先行し、貯め込みやすくなります。やがて洗濯物が乾きにくくなり、三角コーナーや風呂場ではカビが生えてきます。そんな時には、ご自身の体を見つめ返してみてください。