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漢方薬で不妊症や内科・皮膚科の病気を改善、漢方医学を専門とする富士市の影山薬局

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整体観

水は高きより低きへ流れる

用水堰(ようすいぜき)を下る間断のない濁流がつくり出す爆煙は、地鳴りのような音を轟かせながら茜色に染まり、河口から遡上してきた河風と激しく交錯し、無軌道に躍動していた。
へし折られた流木や、今や原形をとどめない何らかの人工物といった混沌が、次から次へと激しく橋脚に打ちつけては押し流されていったが、微動だにしない橋の上は、眼下で繰り広げられる光景に畏怖を覚えつつも、身の危険を感じるほど差し迫った状況にないことだけは確かであった。


富士川

濁流は川幅を目一杯に押し広げ、渡り鳥が羽を休める中洲や魚道は激流に伏し、それらが一体どの辺りにあったかを思い起こすのに、幾分時間を要するほどであった。
橋脚によっていくつかに分断された濁流は、橋を下るにつれ、人工の構造物によって干渉を受け、その底無しのエネルギーを散逸させながら一つの流れとして取りまとめられ、大きく開口した河口域に達する頃には、従来の冷静さを取り戻していた。

今では人里に調和し、故郷の情景を切り取る一枚の絵ハガキの様な穏やかなたたずまいからは、かつて暴れ川として恐れられ、方々を荒らしまわった記憶をたどるのは容易ではない。
自然と人の営みの境界付近では、時に激しい応酬がやり取りされるが、濁流にかかる橋の上から見た光景は、まさにその渦中の絵図であったに違いない。
ところがである。人は自然の猛威と表向きは折り合いをつけたかのように見えるが、猛威となってその性質の一端を垣間見た時に、その本質たるや我が身の内にみたりと確信するばかりであった。





水は高いところから重力に従って低いところへ流れていく事は、当たり前と言えば当たり前なことです。これに物理だとか科学的な解釈を試みても、現象のある一面に後から理屈付けしたようなもので、全体像を捉えているとは言い難いものです。

ところが、この現象と言う面を注意深く観察していくと、例えば「水は高きより低きに流れる」という事例が、私たちが暮らす環境だけでなく、人にも共通した同一の方向性を提示していることに気がづかされます。
口から取り入れた水は体の各所を潤し、やがて膀胱より排泄されます。それは雨が森や田畑を潤し、やがて海に注ぐ様なものかもしれません。水が秩序を失い濁流となって川を下ることは、激しい下痢をするような場合であり、有事と言えるかもしれません。河口から水が上逆する場合には、人では酸い水を吐き出すような場合ですから、ただならぬ状況と言えます。


現象をつぶさに観察していくと、色や形、温度や湿度、組織や構造など、自然界と共通する様々な現象を、人の中に見出すことが出来ます。言い換えれば、自然の中で暮らす私たちの体の中にも、自然界となんら変わらぬ自然が存在しており、そこには共通の原理や構造があって有機的に機能していると言う事を意味しています。
現象をこの様に解釈する方法を「整体観」と言います。

整体観が示すもの
原子が集まり分子となり細胞を形作ります。細胞が集まり器官や組織を作り個体が発生します。人になるか牛になるか、ヒノキになるかマグロになるか、、、、原子レベルにまで分解してしまえば大して変わりはありません。
個体として発生し、その個体が歩む様々なプロセスにも、全てに共通の原理が背景にあり、それが個体としての方向性を決定しています。
山だとか生き物、あるいは路傍の石ころであっても、物質を集積しながら散逸させ、かろうじてその形態を維持しています。そこには時間の長短の違いはあっても、生長老衰の共通のプロセスがあります。
物質は全体で共用され、不断の流れとなって循環しています。究極的には、個は全体のために機能し、全体が機能することでまた個も存在しうると言えます。
このように整体観で物事を捉えると、ミクロの視点だけでは見えてこない全体像を把握するのに役立ちます。

東洋的視点
漢方だとか東洋医学などと言う言葉は、最近マスコミでもよく取り上げられているようで、それは大変ありがたいのですが、実際にはこの整体観という考えが根底にあり、それを治療学に発展させていったという事はあまり多く語られていないようです。
他にも「上善水の如し、水はよく万物を利してしかも争わず」という老子の不争の徳という言葉があります。これは「最もすばらしい善とは、水の働きの様なものである。水は万物の生長を立派に助け、しかも競い争う事が無く、多くの人がさげすむ低い場所にとどまっている」と訳されるそうです。「和を以て貴しとなす」や「謙譲の美徳」といった日本的道徳観に通ずるところがあり、水の持つある一面の性質に、処世の哲学をなぞらえた整体観と言えるかもしれません。

山、川、土、太陽、海、、、、自然の振る舞いを、処世や治療だけでなく、組織運営や仕事、人間関係など、整体観をもって観察していく事で、また違った解決策が見つかるかもしれません。そのためにはまず自然をよく観察する事が大切です。


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