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養生を実践するために

日々の健康に留意し、養生して病をなるべく遠ざけて元気に暮らしていくと言うのは、口で言うほど容易くありませんし、物や情報だけでなくストレスの多い今の時代にあって、図らずも知らぬ間に不養生を続けてしまう、あるいはそうせざるを得ない事も、あながち過ちとは言いきれません。
江戸時代の哲学者であった貝原益軒は、「養生訓」と言う本を残していますが、その冒頭では人間の尊厳性について触れられており、養生の術ともいえる技術論はその後に続きます。
儒学者でもあった益軒の思想は、必ずしも現代に受け入れられるばかりではないのですが、違う時代を生きる同じ人間として、共感できる部分も多々あります。今月は養生についてです。

東洋医学で養生
養生と言う言葉を辞書で引きますと
  • 1 生活に留意して健康の増進を図ること。摂生(せっせい)。「酒やタバコをひかえ、つね日頃から養生している」
  • 2 病気の回復につとめること。保養。「転地して養生する」
  • 3 打ち込んだコンクリートやモルタルが十分に硬化するように、低温・乾燥・衝撃などから保護する作業。
  • 4 家具の運搬や塗装作業などの際に、運搬物や周囲の汚損を防ぐために布や板などで保護すること。「養生シート」
とあります。

建築や運送の世界では専門用語として使われているようですが、日常用語としては1や2にある様に、静養だとか療養などに近い意味で使われています。
養生の「養う」という漢字の成り立ちを見てみますと、羊+食の二つに分解出来まして、昔は大変貴重な栄養源であった羊肉を食べて元気を付け、命を長らえようとする意味合いが、養生の持つ語感を醸し出しています。
一方で、養生すると言う意味は、無理や不摂生をしないだとか、体や健康にとって悪い事はしない、あるいは、いくぶん禁欲的で厳格なイメージも内包しています。


最近では、新聞のテレビ欄を眺めていますと、健康情報番組の放送をやらない日が無いと言うくらい、健康や医学情報が、視聴者に向かって喧伝されています。
名医とか学者と呼ばれる専門の人たちが、医学や科学的根拠などを提示しながら、断片的ではありますが最新でかつ有用な健康法や解決法を伝授してくれます。
これはこれで有難いですし、内容も興味深いのですが、テレビ番組と言う性格上なのかもしれませんが「○○しないとこんなひどい事になってしまいます」だとか「○○するだけで改善します」のようなやや過激な切り口は、昔から相変わらずな感じもします。
もちろんこれらの番組は、病気の予防意識を高めたり、健康増進に働きかけてくれる側面もありますが、かえって恐怖感をあおることになり、怖くて見ていられなかったり、耳障りに感じると言う人もいます。
また、専門家の間で意見が割れたり、まったく逆のことを言っていたりすることもあり、情報の発信者だけでなく、受け手の側も混乱してしまう事があります。膨大な情報の中から必要な情報を抜き出し、活用していく能力を情報リテラシーと言うそうですが、養生の実践にあたっても、リテラシーが必要になるのかもしれません。

東洋医学からみた養生
東洋医学の持つイメージと、養生の持つ静養や療養などのイメージは重なりやすいかと思います。東洋医学は、東洋哲学を背景に発展してきた経緯があります。諸家の医学や哲学から影響を受けて編纂され、長らく江戸の庶民に読まれた養生訓の冒頭で、著者である貝原益軒はこの様に言っています。
(ひとの身体は父母を本とし、天地を初めとしてなったものであって、天地・父母の恵みを受けて生まれ育った身体であるから、それは私自身のもののようであるが、しかし私のみによって存在するのではない。)

儒教的色彩が強く、現代の日本ではすんなりと馴染まない部分もあるかもしれませんが、養生の要諦をまとめた「養生訓」では、具体的なテクニックよりも、その前提としての心構えから書き出されています。
一方で、東洋医学の医学書を読んでみますと、学術的色彩が強く、思想とか人間の尊厳などのについては、なおざりなものとなる嫌いがあります。机上の概念を、生身の人間が実践しようとしたときに、相応の心構えが必要になってきます。何故なら、養生とは健康でも病気の時でも、ずっと続くものですから。


世の中には新旧たくさんの養生法や健康法があります。迷信や儀式めいたもの、科学的根拠を踏まえたものから都市伝説の様なものまで、日々浮かんでは消え、消えては浮かぶ有様です。
これら情報の洪水の中で前後を見失わず、養生を実践するためには、ぶれない中心を懐に持っている方が良いのかもしれません。中心となるものは銘銘がこしらえて、醸成していただければ良いのかもしれませんが、東洋医学的な立場から言いますと「ありがとう」の気持ちなのだと思います。今日一日怪我無く働いてくれた体や心にありがとう、今日は酒を飲み過ぎたが、文句も言わずに働いてくれた肝臓にありがとう、散歩中にひざが痛くならなくてありがとう、、、他ならぬ自分の心や身体への感謝や、ねぎらいの気持ちをどこかに持っていれば、おのずと養生の実践につながるのかもしれませんね。
何かの代償として健康法や予防法を実践するのも良い事ですが、主体性や自発性を伴った養生が、心身の欲するありたい状態に近接していればいるほど、しなやかに暮らすことにつながるのでしょうね。


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