口内炎について
口の中の粘膜に出来きた状態を口内炎と言います。
口の中の粘膜が赤く腫れて、飲食物がしみる
カタル性口内炎と、口の中の粘膜に円形の浅い潰瘍ができる
アフタ性口内炎などが良くみられます。特別な病気の合併症として出てくるものもありますが、大多数は心配のいらないものです。
原因としてははっきりとした事は解っていませんが、偏食やストレス、疲労や口の中の不衛生、唾液不足や細菌感染などが関わっているのではないかと言われています。
東洋医学で口内炎を治そう
熱いものや冷たいもの、刺激物など、本来なら様々な刺激に耐えられる丈夫な構造をした口腔内での炎症は、単なる局所の炎症で片付けず、全身の状態から発症した理由を考えていきます。
口は消化器や呼吸器の始まりであり、胃腸や肺などに対して構造上は上に位置します。
下部で発生した熱が上部に及んだ場合や、下部の失調に呼応した上部の抑制反応として、あるいは虚弱な状態が続いている場合などに関連付けて口内炎をとらえています。
- @胃熱タイプ
口に対して胃は下部に位置し、胃で発生した熱は口腔を犯すと考えられています。
暴飲暴食をしたり、脂っこいもの、刺激物やアルコールなどを摂りすぎた場合、胃は容易に熱を持ち口内炎を発症します。胃熱が長引けば胃炎や食道炎などの消化器症状を伴いますが、そこまで進展させないために痛みを伴う口内炎をおこし、飲食を控えさせ胃熱を冷まそうとする防御反応とも言えます。
また、胃熱は胃火とも呼ばれ、炎症性の症状が胃から上部にかけて広がる事があります。
胃痛、胸やけ、口渇き、口臭や歯茎痛、歯茎出血などの症状が、口内炎に交じって散発的に表れてくるのも胃熱タイプの特徴です。ストレス性の胃炎など、飲食と関係のない胃炎も胃熱を助長するため注意が必要です。
- A肺熱タイプ
風邪やインフルエンザなど、外界からもたらされた邪気が肺を犯した場合、呼吸器ではのど痛や咳・痰、鼻炎症状などが現れる事がありますが、肺熱タイプはそれが口腔内に及んだ際に口内炎として現れた場合です。
風邪時に現れる口内炎はその一例です。また、慢性的な呼吸器疾患を持つ方は肺熱を持ちやすい体質といえます。いずれも呼吸器の熱が、口の中の粘膜にまで炎症を引き起こしやすい状態です。
- B虚弱タイプ
もともと体力がない人や、疲労、睡眠不足などが重なり、慢性的に虚弱なタイプな方は口内炎を作りやすくなります。多くは胃腸機能が弱い人に見られ、胃熱タイプに比べて炎症や痛みなどの症状は穏やかな一方で、ことあるごとに再発を繰り返したり治りにくかったりします。
また、体を機能的なものと物質的な物に分けて考えた時、機能に対して物質的な物の不足がみられるタイプは陰虚証と呼ばれていますが、このタイプは体が乾いた状態を作りやすいといわれ、粘膜面に潰瘍を作りやすくなります。高齢者や、痩せ型の男性に多くみられます。
口内炎は主訴とはなりにくいのですが、体質タイプを知る上で重要な指標となっています。
@Aのタイプは炎症をとる清熱剤を、Bは不足を補う補剤を中心に改善していきます。
外傷性のものや、自傷行為によるもの、他の病気が原因のものなどは治療方法が異なります。
東洋医学では口内炎を、口の中でおきた局所の問題とはとらえずに、口から肛門までの一本のパイプや呼吸器の健康状態から判断していきます。
熱タイプであれば、上昇した熱を漢方薬で落ち着かせながら、こもった熱を逃がせるような環境作りをしていきます。
虚弱タイプでは主に胃腸機能を高めたり、陰虚体質を改善し、再発しにくい環境作りをしていきます。口内炎は内臓機能の失調を知らせるセンサーのような症状です。
一度ご相談ください。